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1/31【閉店】本家慶徳饅頭

本家慶徳饅頭 2012年1月31日(火)閉店

熊本市慶徳堀町で150年以上続く甘酒まんじゅうの老舗「本家慶徳饅頭[けいとくまんじゅう]」が来年1月下旬、のれんを下ろす。鶴屋百貨店(同市)内の店舗は今月31日で営業を終了。弟と昔ながらの手作りの味を提供してきた吉永美知子さん(76)は「後継ぎもおらんし、自然の流れタイ」と言うが、なじみ客からは惜しむ声が尽きない。
 創業は江戸末期。「当時、市中心部で甘いものを売る店と言えば、朝鮮飴[あめ]が園田屋さんともう一軒。あとはうちぐらい。細川家にも御紋入りのお重で納めよった。祖母や母から聞いた話タイ」と美知子さん。
 1945年7月の熊本大空襲。10歳だった美知子さんは花岡山から見た光景をはっきり覚えている。「見渡す限りの焼け野原で、うちの店も赤いレンガの煙突しか残らんかった」。戦後は砂糖が手に入らず、両親はバラックを建て、まんじゅうの代わりにたばこやげたを売った。
 戦後6年経ってようやく現在の店舗兼住宅を建て、まんじゅう作りを再開した。その2年後に「6・26水害」が発生。被害も受けたが、店は繁盛した。「当時、長六橋につながっていた店の前の道を、多くの人や車が通った。家の修繕をする大工さんへの差し入れも多く、まんじゅうは作るだけ売れた」
 鶴屋には73年に出店。母は誘いを拒んだが、美知子さんが「私がする」と申し出た。本店は79年、母の骨折を機に弟の徳一さん(63)が6代目として継いだ。隣には明治初期創業の「元祖慶徳堀饅頭」があり、「本家と元祖の対決」と喧伝[けんでん]された時期もあった。
 ただ、92年の長六橋の架け替えに伴う一帯の道路整備により、店の前は「裏通り」に。通行する車、人が減り、売り上げも落ちた。よきライバル「元祖」も02年に廃業した。
 美知子さんと徳一さんが作る「慶徳饅頭」は、米こうじともち米でつくった甘酒で小麦粉をこね、砂糖だけで練り上げたこしあんを包み、発酵させて蒸す。素朴な甘酒の香りと味が常連客を引きつけてきた。
 「寂しくなりますね」と閉店を知った客から声が掛かるようになった。「まんじゅう屋のあったなぁ、うまかったなぁ、と時々思い出してもらうなら、それでよか」。まんじゅうを蒸す白い湯気の向こうで、美知子さんが笑った。(田川里美)
ソースはくまにち.com

住所 熊本県熊本市慶徳堀町23
アクセス 熊本市電:河原町
営業時間 9:00~17:00
定休日 日曜日
HP
備考



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